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「うちはまだAI活用できる状態じゃない」
そう考える経営者や現場担当者の方がいるかと思います。
ただ、kintoneをすでに導入しているのであればkintoneに保存されているそのデータがAI時代の大きな資産になります。
生成AIの登場によって、データ活用の前提が根本から変わりました。きれいに整理されたデータだけが価値を持つ時代は終わりつつあります。
  • 営業担当者がレコードに書いた何気ないコメント
  • スペースで飛び交った社内のやり取り
  • 業務の合間に残した一言のメモ
そういった「人の言葉」こそが、AI時代において最も強いデータになっていきます。
 

kintoneのデータは2種類ある

kintoneに蓄積されるデータは、大きく2種類に分けられます。
 
ひとつは「定量データ」。
受注金額、対応ステータス、顧客名、期日——フィールドに入力された構造化された数値や選択肢です。
これはこれまでも集計・分析に活用されてきた、従来型のデータベースとしての価値です。
 
もうひとつが「定性データ」。

レコードのコメント欄でのやり取り、スペースのスレッド、業務の合間に書き込まれた「この案件、先方の担当者が変わったので注意」といった一言。
これは構造化されていない、人間の言葉そのものです。

これまでのデータ活用では、定量データが主役でした。

「集計できる」、「グラフにできる」、「条件で絞れる」。そういった「扱いやすさ」が評価されていたからです。
しかし、生成AIの登場によって、これまで活かしにくかった定性データの価値が大きく高まりました。

集計や正確な判定では定量データが引き続き重要ですが、文脈理解や暗黙知の活用では定性データが大きな力を発揮します。
ここに、kintoneがAI時代において持つ本質的な価値があります。
 

AI活用において、構造化の優先順位は変わった

データ活用といえば「まず構造化」というのが、これまでの常識でした。
バラバラな文章では集計や検索、分析ができないので「入力フォーマットを統一して、項目を細かく分け、ルールを徹底する」といった形で多くの工数を費やしてきました。
 
しかし、生成AIは、構造化されていない文章でも、意味的な近さや文脈の関連を扱うことができます。

AIは文章を人間には見えない多次元の数値データ(ベクトル)に変換することで、単語の一致ではなく「意味の近さ」で情報を捉えます。
「納期を重視する顧客」と書かれていれば、「スピード優先の取引先」という表現とも意味的に近いと判断できる。
そのため、これまで活用しづらかった自由記述やコメントも、検索・要約・提案の材料として使いやすくなりました。
これが、構造化されていない言葉をそのまま活用できる理由です。
 
AI活用においては、「人が読んで意味がわかる文章」自体が十分に価値あるデータになります。
 
もちろん「今月の受注金額の合計を出せ」といった集計処理は、構造化されたデータの方が今でも速くて正確です。
なので、構造化データが無価値になるわけではありません。
実務でAIの精度を高く活かすには、日時・担当者・顧客・案件番号などの構造化情報やメタデータと組み合わせることも重要です。
ただ、AI活用という文脈においては、構造化だけを最優先に考える必要はなくなりました。
これがデータ活用における、重要なパラダイムシフトです。
 

「人が使いやすい構造」で作っていい

kintoneはRDB(リレーショナルデータベース)ではありません。これは制約である一方、大きな設計の自由度でもあります。
RDBの世界では、データの整合性を保つために「正規化」が原則です。
同じ情報を複数の場所に持たない、テーブルを適切に分割する——それ自体は正しいデータ設計の考え方です。
しかしkintoneでこれを厳密にやろうとすると、現場の人間にとって非常に使いづらいシステムになってしまいます。
  • 複数アプリを経由してルックアップで引っ張ってきた項目が更新されない
  • 関連レコードを辿らないと全体像が見えない
  • 入力の手間が増えてそもそも使われなくなる
こういった問題が現場で頻発します。
では、kintoneをどう設計すればいいのか。答えはシンプルです。
人が使いやすいように作ればいい。
 
「この画面でこの情報が見えたほうが便利」であれば、多少の冗長性があっても持たせていい。
「このアプリはこの業務担当者が毎日開くもの」であれば、その人の動線に合わせて設計していい。
データの正規化よりも、現場の使いやすさを優先する。そして、そのデータを横断的に活用したり、情報を引き出したりする作業はAIに任せれば良いのです。
 
「人が使う時に使いやすい構成で作り、データ活用はAIがやる」——これがAI時代のkintone設計の基本的な考え方です。
 

中小企業のkintoneは「宝の山」になる

大企業では、業務システムが分散していることが多いです。
営業活動はkintone、チャットはTeams、ファイル管理はBox、プロジェクト管理は別のツールとデータがあちこちに散らばりがちです。
 
一方、中小企業のkintoneには、業務に関わるほぼすべてのやり取りが集中していることが多いです。
営業の記録、顧客とのやり取りのメモ、社内の相談、ちょっとした申し送りまで「定量データ」と「定性データ」が合わさって、一箇所に蓄積されています。
これが、AIとの組み合わせで強烈な武器になります。
 

例① 営業支援での活用

ある顧客のレコードには、受注金額や対応ステータス、問い合わせ履歴といった定量データだけでなく、「先方の部長が来年3月に退任予定とのこと」「価格よりも納期を重視するタイプ」「前回の提案で競合他社と比較されていた」といったコメントが積み重なっています。
AIにこれらをまとめて読ませれば、「この顧客への次回提案のポイント」を瞬時に整理してくれます。
担当者が変わっても、コンテキストが引き継がれます。
「新人が初訪問する前に、ベテランが培ってきた顧客理解をインプットできる」といったこれまで属人化していた営業ノウハウを組織の資産に変えることができます。
 

例② 社内ナレッジの活用

スペースのスレッドには、「このケース、以前似たような案件があってこう対応したよ」「あのプラグインはこの設定が落とし穴だった」「お客さんから同じ質問が3回来たから、FAQに追加した方がいい」といった非公式な知見が眠っています。
構造化された手順書やマニュアルには書かれていない、「現場の知恵」です。
AIがこれを横断的に検索・要約することで、「過去に似た問題が起きたとき、社内でどう対応したか」が瞬時に引き出せます。
新人でもベテランの判断に近い動きができるようになる。ドキュメント化されていなかった暗黙知が、AIを通じて形式知に変わる瞬間です。
 

kintoneはAIが使いやすいプラットフォームになれる

kintoneはもともと「人が使うツール」として設計されています。
しかし見方を変えると、定量・定性の両方のデータが一元管理されていて、APIで外部からアクセスできるというアーキテクチャは、AIが活用するためのプラットフォームとして非常にポテンシャルが高いです。
 
構造化された業務データと、人の言葉が詰まったコミュニケーションデータが同じ場所にあることはAIにとって非常に扱いやすい環境です。
 
「人がkintoneを使う」から「AIがkintoneのデータを使って人をサポートする」へ
日々のコメントや何気ないスレッドの書き込みが、実は最も価値のある資産になっています。
kintoneがAI時代に活用できる大きなポイントだと思います。
kintoneの設計は、現場の人が使いやすいように作る。データの正規化よりも、入力のしやすさと情報の見やすさを優先してみる。
そしてコメントやスレッドに、日々の気づきや申し送りを書き込むような仕組みや企業文化を作る。
その積み重ねが、生成AI時代の大きな競争力になります。
「うちの会社はデータが整備されていないから、AI活用はまだ先の話」と思っている方ほど、実は今すぐ始められる状態にあるかもしれません。
kintoneに蓄積されてきた定量・定性データは、すでに価値あるデータです。

構造化されていなくて大丈夫です。
それを引き出す仕組みを整えていきましょう。

この記事を書いた人
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四宮靖隆

株式会社ジョイゾー代表取締役社長

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